皮膚に浸潤するPD-1陽性T細胞の割合が、免疫療法による発疹と通常の薬疹を見分ける指標となる
論文タイトル
An increased proportion of PD-1-positive/CD3-positive T cells distinguishes maculopapular immune-related adverse events from conventional drug eruptions
掲載誌
British Journal of Dermatology
執筆者
Yasuaki Ikuno, Yuko Tsukamoto, Masahiro Yamada, Yoshimichi Kobayashi, Yasuhiro Maeda, Takahiro Koike, Akihiko Yamaguchi, Toshifumi Takahashi, Akiko Arakawa, Noriki Fujimoto
(全員本学の関係者、皮膚科学講座所属)
論文概要
がん免疫療法は、進行がんや遠隔転移のある患者さんにも効果が期待できる重要な治療法で、できるだけ治療を継続することが大きな意味をもちます。しかし、発疹などの副作用が現れた場合、それが免疫療法によるものか、併用している他の薬によるものかを見分けることは容易ではありません。見た目や従来の病理検査だけでは十分に区別できず、治療を続けるべきかの判断に迷うことがあります。
本研究では、丘疹紅斑型(赤いブツブツ状)の発疹を対象に、皮膚の検査(生検)で、免疫に関わるT細胞のうち「PD-1」という免疫の働きの抑制に関わる分子を発現する細胞の割合に注目しました。その結果、免疫療法による副作用としての発疹ではこの割合が高く、一般的な薬疹では低いことがわかりました(図1)。さらに、免疫療法中に生じた発疹でも、別の薬が原因と考えられる場合には、この値は低いままであることを確認しました(図1)。また、この割合は年齢や性別、治療内容の影響を受けにくく(図2)、55%を目安に両者を明確に区別できることが明らかになりました(図3)。これらの結果から、「PD-1を発現するT細胞の割合」は、発疹の原因を客観的に判別する指標となる可能性が示されました(図4)。今後、多施設での検証により再現性が確認されれば、発疹の原因の鑑別や治療継続の判断を、より安全かつ適切に行うことが可能となり、診断の精度向上や治療の選択に大きく貢献することが期待されます。
文責
皮膚科学講座 生野 泰彬、荒川 明子、藤本 徳毅